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09.機械製図-断面図の表し方



『 JIS B 0001 機械製図 』においては、機械製図における断面図の表し方に関して、その一般原則、全断面図、片側断面図、部分断面図、回転図示断面図、組合せによる断面図、多数の断面図による図示、薄肉部の断面図などの表し方が、例とともに以下のように規定されています。

(以下、引用)


断面図の表し方


1.一般原則

a)
隠れた部分を分かりやすく示すために、断面図として図示することができる。断面図の図形は、切断面を用いて対象物を仮に切断し、切断面の手前の部分を切り除き、投影図の表し方に従って描く。

b)
切断したために理解を妨げるもの(例1)、又は切断しても意味がないもの(例2)は、長手方向に切断しない(図28 参照)。
例1:リブ(歯車の)、アーム、歯車の歯
例2:軸、ピン、ボルト、ナット、座金、小ねじ、リベット、キー、鋼球、円筒ころ
図28
図28

c)
切断面の位置を指示する必要がある場合には、両端及び切断方向の変わる部分を太くした細い一点鎖線を用いて指示する。投影方向を示す必要がある場合には、一点鎖線の両端に投影方向を示す矢印を描く。また、切断面を識別する必要がある場合には、ローマ字の大文字などの記号によって指示し、矢印によって投影方向を示し、参照する断面の識別記号は矢印の端に記入する。相当する断面図の直下か直上に記入する(図29 参照)。

d)
断面の切り口を示すために、ハッチングを施す場合には、次による。
1)ハッチングは、細い実線で、主なる中心線に対して45度に施すのがよい。
2)断面図に材料などを表示するため、特殊なハッチングを施してもよい。その場合には、その意味を図面中にはっきり指示するか、該当規格を引用して示す。
3)同じ切断面上に現れる同一部品の切り口には、同一のハッチングを施す(図28 及び 図31 参照)。ただし、階段状の切断面の各段に現れる部分を区別する必要がある場合には、ハッチングをずらすことができる(図29 参照)。
図29
図29
4)隣接する切り口のハッチングは、線の向き又は角度を変えるか、その間隔を変えて区別する(図30 及び 図31 参照)。
5)切り口の面積が広い場合には、その外形線に沿って適切な範囲にハッチングを施す(図31 参照)。
6)ハッチングを施す部分の中に文字、記号などを記入する必要がある場合には、ハッチングを中断する(図30 参照)。
図30
図30
図31
図31


2.全断面図
全断面図は、次によって描く。

a)
通常は、対象物の基本的な形状を最もよく表すように切断面を決めて描く(図32 及び 図33 参照)。この場合には、切断線は記入しない。
図32
図32
図33
図33

b)
必要がある場合には、特定の部分の形をよく表すように切断面を決めて描くのがよい。この場合には、切断線によって切断の位置を示す(図34 参照)。
図34
図34


3.片側断面図
対称形の対象物は、外形図の半分と全断面図の半分とを組み合わせて表すことができる(図35 参照)。
図35
図35


4.部分断面図
外形図において、必要とする要所の一部だけを部分断面図として表すことができる。この場合、破断線によって、その境界を示す(図36 参照)。
図36
図36


5.回転図示断面図
ハンドル、車などのアーム及びリム、リブ、フック、軸、構造物の部材などの切り口は、次のように90度回転して表してもよい。

a)
切断箇所の前後を破断して、その間に描く(図37 参照)。
図37a)
図37a)
図37b)
図37b)

b)
切断線の延長線上に描く(図38、図48 及び 図50 参照)。
図38
図38

c)
図形内の切断箇所に重ねて、細い実線を用いて描く(図39 及び 図40 参照)。
図39
図39
図40
図40


6.組合せによる断面図
二つ以上の切断面による断面図を組み合わせて行う断面図示は、次による。
なお、これらの場合、必要に応じて断面を見る方向を示す矢印及び文字記号を付ける(図41 参照)。

a)
対称形又はこれに近い形の対象物の場合には、対称の中心線を境として、その片側を投影面に平行に切断し、他の側を投影面とある角度をもって切断することができる。この場合、後者の断面図は、その角度だけ投影面のほうに回転して図示する(図41 及び 図42 参照)。
図41
図41
図42
図42

b)
断面図は、平行な二つ以上の平面で切断した断面図の必要部分だけを合成して示すことができる。この場合、切断線によって切断の位置を示し、組合せによる断面図であることを示すために、二つの切断線を任意の位置で接ぐ(図43 参照)。
図43
図43

c)
曲管などの断面図を表す場合には、その曲管の中心線に沿って切断し、そのまま投影することができる(図44 参照)。
図44
図44

d)
断面図は、必要に応じて a)〜c) の方法を組み合わせて表してもよい(図45 及び 図46 参照)。
図45
図45
図46
図46


7.多数の断面図による図示
多数の断面図による図示は、次による。

a)
複雑な形状の対象物を表す場合には、必要に応じて多数の断面図を描いてもよい(図47 及び 図48 参照)。
図47
図47
図48
図48

b)
一連の断面図は、寸法の記入及び図面の理解に便利なように、投影の向きを合わせて描くのがよい。この場合、切断線の延長線上(図48 参照)又は主中心線上(図49 参照)に配置することが望ましい。
図49
図49

c)
対象物の形状が徐々に変化する場合、多数の断面図によって表すことができる(図50 参照)。
図50
図50


8.薄肉部の断面図
ガスケット、薄板、形鋼などで、切り口が薄い場合には、次によって表すことができる。

a)
断面の切り口を黒く塗りつぶす[図51a) 及び 図51b) 参照]。

b)
実際の寸法にかかわらず、1本の極太の実線で表す[図51c) 及び 図51d) 参照]。
なお、いずれの場合にも、これらの切り口が隣接している場合には、それを表す図形の間(他の部分を表す図形との間も含む)に、わずかなすき間をあける。ただし、このすき間は0.7mm以上とする。
図51a) 及び 図51b)
図51a) 及び 図51b)
図51c) 及び 図51d)
図51c) 及び 図51d)