10.機械製図-図形の省略
『 JIS B 0001 機械製図 』においては、機械製図における図形の省略の方法に関して、その一般原則、対称図形の省略、繰返し図形の省略、中間部分の省略などの省略の仕方が、例とともに以下のように規定されています。
(以下、引用)
【図形の省略】
1.一般原則
a)
かくれ線は、理解を妨げない場合には、これを省略する(図52 参照)。
b)
補足の投影図に見える部分を全部描く[図53a) 参照]と、図がかえって分かりにくくなる場合には、部分投影図[図52、図53b) 及び 図54 参照]又は補助投影図(図55 参照)として表す。
図52
図53a)
図53b)
図54
図55
c)
切断面の先方に見える線[図56a) 参照]は、理解を妨げない場合には、これを省略するのがよい[図56b) 参照]。
図56a)
図56b)
d)
一部に特定の形をもつものは、なるべくその部分が図の上側に現れるように描くのがよい。例えば、キー溝をもつボス穴、壁に穴又は溝を持つ管及びシリンダ、切割りをもつリングなどを図示する場合には、図57 の例によるのがよい。
図57
e)
ピッチ円(9)上に配置する穴などは、側面の投影図(断面図も含む。)においては、ピッチ円が作る円筒を表す細い一点鎖線と、その片側だけに1個の穴を図示(投影関係にかかわりなく)し、他の穴の図示を省略することができる(図54 及び 図58 参照)。
注(9)
フランジ関係の日本工業規格では、ピッチ円をボルト穴中心円と表現している。
備考:
この場合、穴の配置は、これを表す図に示すなどの方法で明らかになっていなければならない。
図58
2.対称図形の省略
図形が対称形式の場合には、次のいずれかの方法によって対称中心線の片側を省略することができる。
a)
対称中心線の片側の図形だけを描き、その対称中心線の両端部に短い2本の平行細線(対称図示記号という。)を付ける(図59、図60 及び 図61 参照)。
図59
図60
図61
b)
対称中心軸の片側の図形を、対称中心線を少し越えた部分まで描く。この場合には、対称図示記号を省略することができる(図62 及び 図63 参照)。
図62
図63
3.繰返し図形の省略
同種同形のものが多数並ぶ場合には、次によって図形を省略することができる。
a)
実形の代わりに図記号をピッチ線と中心線との交点に記入する(図64 参照)。ただし、図記号を用いて省略する場合には、その意味を分かりやすい位置に記述するか(図64 参照)、引出線を用いて記述する[図65b) 参照]。
図64a)
図64b)
図64c)
b)
読み誤るおそれがない場合には、両端部(一端は1ピッチ分)又は原点だけを実形又は図記号によって示し、他のピッチと中心線との交点で示す(図65 参照)。ただし、寸法記入によって交点の位置が明らかなときには、ピッチ線に交わる中心線を省略してもよい(図66 参照)。
なお、この場合には、繰返し部分の数を寸法記入又は注記によって指示しなければならない。
図65
図66
4.中間部分の省略
同一断面形の部分(例1)、同じ形が規則正しく並んでいる部分(例2)、又は長いテーパなどの部分(例3)は、紙面を省くため中間部分を切り取って、その肝要な部分だけを近づけて図示することができる。
例1: 軸、棒、管、形鋼
例2: ラック、工作機械の親ねじ、橋の欄干、はしご
例3: テーパ軸
この場合、切り取った端部は、破断線で示す(図67、図68 及び 図69 参照)。
なお、要点だけを図示する場合、紛らわしくなければ、破断線を省略してもよい(図68 右側部分参照)。
また、長いテーパ部分又はこう配部分を切り取った図示では、傾斜が緩いものは、実際の角度で図示しなくてもよい[図69b) 参照]。
図67a)
図67b)
図68
図69a) 傾斜が急な場合
図69b) 傾斜が緩い場合