11.機械製図-特殊な図示方法
『 JIS B 0001 機械製図 』においては、機械製図における図形の特殊な図示方法に関して、二つの面の交わり部、平面部分、展開図示、加工・処理範囲の限定、加工部の表示、その他の特殊な図示方法などの図示方法が、例とともに以下のように規定されています。
(以下、引用)
【図形の特殊な図示方法】
1.二つの面の交わり部
二つの面が交わる部分(相貫部分)を表す線は、次による。
a)
交わり部に丸みがある場合に、対応する図にこの丸みの部分を表す必要があるときは、図70 のように交わり部に丸みがない場合の交線の位置に太い実線で表す。
図70a)
図70b)
図70c)
b)
曲面相互又は曲面と平面が交わる部分の線(相貫線)は、直線で表すか[図71 a)、 b)、 c)、 d)、 e) 及び f) 参照]、正しい投影に近似させた円弧で表す[図71 g)、 h) 及び i) 参照]。
図71 a)
図71 b)
図71 c)
図71 d)
図71 e)
図71 f)
図71 g)
図71 h)
図71 i)
c)
リブなどを表す線の末端は、直線のまま止める[図72 a)]。
なお、関連する丸みの半径が著しく異なる場合には、端末を内側又は外側に曲げて止めてもよい[図72b) 及び 図72 c) 参照]。
図72 a) 一般の場合
図72 b) R1<R2 の場合
図72 c) R1>R2 の場合
2.平面部分
図形内の特定の部分が平面であることを示す必要がある場合には、細い実線で対角線を記入する(図73 参照)。
図73 a)
図73 b)
3.展開図示
板を曲げて作る対象物や面で構成される対象物の展開した形状を示す必要がある場合には、展開図で示す。この場合、展開図の上側又は下側のいずれかに統一して、”展開図”と記入するのがよい(図74 参照)。
図74
4.加工・処理範囲の限定
対象物の面の一部分に特殊な加工を施す場合には、その範囲を、外形線に平行にわずかに離して引いた太い一点鎖線によって示すことができる[図75 a) 及び 図162 参照]。また、図形中の特定の範囲を指示する必要がある場合には、その範囲を太い一点鎖線で囲む[図75 b) 参照]。
なお、これらの場合、特殊な加工に関する必要事項を指示する。
図75 a)
図75 b)
図162 a)
図162 b)
5.加工部の表示
加工部の表示は、次による。
a)
溶接部品の溶接部分を参考に示す必要がある場合には、次の例による。
1)溶接部材の重なりの関係を示す場合には、図76 の例による。
図76
2)溶接構成部材の重なりの関係及び溶接の種類と大きさを表す場合には、図77a) の溶接記号を用いた指示に対して、組立図のように溶接寸法を必要としない場合には、図77b) の例のように溶接部位を塗りつぶして指示することができる。
図77 a)
図77 b)
b)
薄板溶接構造物の強度を増加させる溶接構造例を 図78 に示す。
図78
c)
ローレット加工した部分、金網、しま鋼鉄などの特徴を外形の一部分にその模様を描いて表示することができる。この場合には、次の例による[図79、図80 及び 図81 参照]。
図79 a) ローレット加工した部分の例
図79 b) ローレット加工した部分の例
図80 a) 金網の例
図80 b) 金網の例
図80 c) 金網の例
図81 しま鋼板の例
また、非金属材料を特に示す必要がある場合には、原則として 図82 の表示方法によるか、該当規格の表示方法による。この場合でも、部品図には材質を別に文字で記入する。概観を示す場合も切り口の場合もこれによってよい。
図82
d)
図に示す対象物の加工前又は後の形を図示する必要がある場合には、次による。
1)加工前の形を表す場合には、細い二点鎖線で図示する[図3 の 例7a) 及び c) 参照]。
2)加工後の形、例えば、組立後の形を表す場合には、細い二点鎖線で図示する[図3 の 例7b) 参照]。
図3 線の用法の図例(例7)
e)
加工に用いる工具・ジグなどの形を参考として図示する必要がある場合には、細い二点鎖線で図示する(図3 の例6 参照)。
図3 線の用法の図例(例6)
6.その他の特殊な図示方法
その他の特殊な図示方法は、次による。
a)
切断面の手前側にある部分を図示する必要がある場合には、それを細い二点鎖線で図示する(図3 の例8 参照)。
図3 線の用法の図例(例8)
b)
隣接部分の図示対象物に隣接する部分を参考として図示する必要がある場合には、細い二点鎖線で図示する。対象物の図形は、隣接部分に隠されてもかくれ線としてはならない(図3 の 例5 参照)。断面図における隣接部分には、ハッチングを施さない。
図3 線の用法の図例(例5)